ヨーグルトメーカーで低温調理はできる?鶏ハムの作り方と兼用できるおすすめ5選【2026年】
「サラダチキンを自分で作りたいけれど、低温調理器をもう一台置く場所がない」——そう思って調べていくと、必ず行き当たるのがこの疑問です。手持ちのヨーグルトメーカーで代用できないのか。
答えは、機種によってはできます。ヨーグルトメーカーがやっていることは「決めた温度を長時間保つ」ことで、これは低温調理とまったく同じ原理だからです。実際、40℃でヨーグルト、60℃で甘酒を作れる機種なら、その延長線上に鶏ハムがあります。
ただし、どの機種でもできるわけではありません。温度の上限が足りない機種、容器に鶏むね肉が入らない機種、そもそも数値で温度を設定できない機種があります。そして何より、肉を扱う以上、温度と時間の考え方を知らないまま作ってはいけません。
この記事では、低温調理に使える条件・安全に作るための温度と時間・実際の手順を整理したうえで、ヨーグルトも低温調理も任せられる5機種を紹介します。
低温調理に使えるヨーグルトメーカーの条件#
1. 温度を「数値で」設定でき、上限が65℃前後まで届くか#
これが最初の関門です。「ヨーグルト」「甘酒」といったモードを選ぶだけの機種では、鶏ハムに必要な温度帯を作れません。
必要なのは、1℃刻みで温度を指定できること。そして設定できる上限が65℃前後まで届くことです。40℃前後までしか上がらないヨーグルト専用機は、この時点で候補から外れます。
商品ページで見るべきは「設定温度範囲」という項目です。25〜65℃、あるいは25〜70℃と書かれていれば、鶏ハムの温度帯はカバーできています。逆にここが書かれていない機種は、モード切り替え式である可能性が高いと考えてください。
2. 容器に鶏むね肉が平らに入るか#
見落とされがちですが、実際にやってみて詰まるのはここです。
ヨーグルトメーカーの容器は、牛乳1L分を想定した縦長の円筒形が主流です。鶏むね肉は1枚で20cm近くあり、そのままでは入りません。折り曲げて押し込むと、重なった部分に熱が入りにくくなり、まさに一番避けたい状態になります。
対策は2つあります。ひとつは口が広く、容量に余裕のある容器の機種を選ぶこと。もうひとつは、肉を保存袋に入れて空気を抜き、袋ごと湯に沈める方法を前提に、袋が沈む深さと幅がある機種を選ぶことです。購入前に、容器の内寸(直径と深さ)を確認しておくと確実です。
3. タイマーの上限時間#
鶏ハムは2時間前後、ローストポークのような厚みのある肉ならさらに長くかかります。ヨーグルトメーカーのタイマーは48時間まで対応する機種が多いため、ここで引っかかることはあまりありません。
ただし、タイマーが終わったあとに保温が続くのか、電源が切れるのかは機種によって違います。切れるタイプなら、終了後に放置せず速やかに取り出すか冷やす必要があります。「作った後に中途半端な温度で放置しない」ことが、低温調理では衛生上いちばん大事なポイントです。
4. 温度と時間の考え方(ここだけは必ず読んでください)#
低温調理は、温度が低いぶん、時間で安全性を確保する調理法です。感覚で短縮してよいものではありません。
食肉の加熱条件として一般に示されているのは「中心温度75℃で1分以上、またはこれと同等以上」で、その同等条件として広く知られているのが「63℃で30分」です。低温調理はこの後者を狙う方法にあたります。
ここで重要なのは、ヨーグルトメーカーが管理しているのは庫内の温度であって、肉の中心温度ではないという点です。設定を63℃にしても、肉の中心が63℃に達するまでには時間がかかります。だから「63℃で30分」ではなく、中心が温まる時間を上乗せして、63〜65℃で2時間程度をみておきます。
そのうえで、次の3点を守ってください。
- 常温に長く置かない。冷蔵庫から出したらすぐ仕込み、できあがったら速やかに冷やす
- 道具と手を清潔に。生の鶏肉に触れたら、まな板・包丁・手を洗ってから他の食材に触れる
- 不安なら仕上げに焼く。表面をフライパンで焼き付けると、風味も見た目もよくなります
子ども・高齢者・妊娠中の方・免疫が低下している方に出す料理には、低温調理を選ばないでください。しっかり加熱した調理法のほうが適しています。
ヨーグルトメーカーで作る鶏ハムの基本手順#
条件を満たす機種があれば、手順自体はとても簡単です。
- 下味をつける:鶏むね肉1枚(約300g)の皮を取り、フォークで数か所刺す。塩小さじ1/2、砂糖小さじ1/2をすり込み、保存袋へ。好みで胡椒・にんにく・ハーブを加える
- 冷蔵庫で休ませる:可能なら数時間〜一晩。ここで塩がなじみ、しっとり仕上がります
- 空気を抜く:袋の口を少し開けたまま水を張ったボウルに沈めると、水圧で空気が抜けます。しっかり閉じる
- 湯を用意する:容器に63〜65℃のお湯を張り、袋ごと沈める。肉が浮くようなら小皿などで軽く押さえる
- 加熱する:設定温度63〜65℃、2時間でスタート
- 冷やす:終わったら袋のまま氷水に取って一気に冷やす。粗熱が取れたら冷蔵庫へ
切るのは完全に冷えてからです。熱いうちに切ると肉汁が流れ出てパサつきます。保存は冷蔵で2〜3日以内に食べ切ってください。
※お使いの機種が容器に湯を張る使い方に対応しているかは、必ず取扱説明書で確認してください。本体に直接水を入れられない構造の機種もあります。
低温調理も任せられるヨーグルトメーカーおすすめ5選【2026年最新】#
温度を数値で設定できること、発酵から低温調理までの温度帯をカバーできることを軸に選びました。
※価格・在庫・仕様は変動します。設定できる温度範囲・タイマーの上限・容器の内寸・湯を張る使い方の可否は、必ず各製品の公式情報および取扱説明書をご確認ください。
1. 山善 発酵フードメーカー YXA-101#

「低温調理」を製品として明記している一台。ヨーグルトメーカーの中には低温調理を想定していない機種もあるなかで、メーカー側が用途として掲げているという安心感は、初めて肉を扱う人にとって小さくありません。
温度調節とタイマーを数値で設定でき、ヨーグルト・甘酒・塩麹・味噌といった発酵食から低温調理までを1台でこなします。牛乳パック対応なので、平日はパックのままヨーグルト、週末は容器で鶏ハムという使い分けもできます。レシピブックが付くため、最初の1回で迷いにくいのも実用的な利点です。
こんな人におすすめ: 低温調理も試したいが、専用機を買うほどではない方。1台で発酵食と肉料理の両方をまかないたい方。
2. タニカ ヨーグルティアS YS-02G#

発酵食を本気でやる人が最後にたどり着く定番。日本製で、温度を細かく設定して長時間安定させるという一点に対する信頼が厚い機種です。
低温調理という観点で価値が高いのは、容器がガラスであること。生の鶏肉を扱ったあとでも、においも色も残りにくく、煮沸消毒に耐えます。樹脂容器だと「昨日の納豆のにおいが鶏ハムに移る」といった事故が起きますが、ガラスならその心配がありません。衛生面に神経を使う低温調理と、素材の相性がいいわけです。
こんな人におすすめ: 発酵食と肉料理を同じ容器で作ることに抵抗がある方、長く使える一台を選びたい方。
3. クビンス ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM#

容量2000mlという、この分類では飛び抜けた大きさが武器。低温調理で最初に壁になるのが「鶏むね肉が容器に入らない」問題なので、容量に余裕があることは、そのまま作れるものの幅になります。
1Lクラスの縦長容器では1枚を折り曲げて押し込むことになりがちですが、大きめの容器なら無理なく収まり、熱の入り方も均一に近づきます。家族分をまとめて仕込みたい、あるいは一度に2枚作って作り置きしたい、という使い方に向きます。ヨーグルトやチーズもまとめて作れるので、「回数を減らしたい人」の選択肢です。
こんな人におすすめ: 家族分をまとめて作りたい方、容器の大きさで妥協したくない方。
4. アイリスオーヤマ ヨーグルトメーカー IYM-014#

まず試してみたい人にとって、いちばん敷居が低い一台。温度とタイマーを数値で設定できる基本を押さえつつ、価格が抑えられているため、「低温調理が自分の生活に合うか分からない」段階で買っても後悔しにくいのが強みです。
牛乳パックを差し込む使い方が主軸なので、日常はヨーグルトと甘酒。低温調理は「やってみたいときにやる」くらいの距離感で付き合えます。実際、鶏ハムを作るのは月に数回という人がほとんどで、そのためだけに専用機を置くのは効率が悪い。まず1台で試して、物足りなくなったら足すという順番をとるなら、ここから始めるのが合理的です。
こんな人におすすめ: 低温調理を試してみたいが、最初から高額な機種は避けたい方。
5. ビタントニオ ヨーグルトメーカー VYG-60#

牛乳パックのまま作る使い方と、付属の容器を使う使い方の両方に対応するモデル。低温調理の観点では、容器を使う運用に切り替えられることが条件を満たすうえで効いてきます。
日常はパックのままヨーグルト、肉を仕込むときだけ容器を使う——用途によって使い方を切り替えられるので、生の肉を扱った容器とヨーグルトの容器を分けやすいのも衛生面での利点です。デザイン性が高くキッチンに出しっぱなしにしやすいため、「出しておくから使う」という循環が生まれやすい点も見逃せません。
こんな人におすすめ: 発酵食と肉料理で使い方を分けたい方、キッチンに出しておける見た目を重視する方。
よくある質問#
Q. ヨーグルトメーカーで作った鶏ハムは、生焼けの心配はありませんか?#
A. 温度と時間を守れば問題ありませんが、ヨーグルトメーカーは肉の中心温度を測る機器ではない点に注意が必要です。食肉の加熱条件は「中心温度75℃で1分以上、またはこれと同等」とされ、その同等条件として広く知られているのが「63℃で30分」です。ヨーグルトメーカーは庫内の温度を保つだけなので、肉の中心がその温度に達するまでの時間を上乗せする必要があります。厚みのあるむね肉なら63〜65℃で2時間程度みておくと安心です。不安な場合は、仕上げに表面を焼くか、調理用温度計で中心温度を測ってください。子ども・高齢者・妊娠中の方・免疫が低下している方に出す場合は、低温調理ではなくしっかり加熱した調理法をおすすめします。
Q. すべてのヨーグルトメーカーで低温調理ができますか?#
A. できません。低温調理に使えるのは、温度を数値で設定できて、上限が65℃前後まで届く機種だけです。ヨーグルト専用で温度が40℃前後に固定されている機種や、「ヨーグルト」「甘酒」といったモード切り替えしかない機種では、鶏ハムに必要な温度帯に設定できません。購入前に「設定温度の範囲」と「1℃刻みで設定できるか」、そしてタイマーの上限時間を必ず確認してください。あわせて、容器に鶏むね肉1枚が平らに入るかどうかも見ておくと失敗がありません。
Q. 専用の低温調理器を買うのと、ヨーグルトメーカーで兼用するのはどちらがいいですか?#
A. 作る量と頻度で決めるのが実際的です。鶏むね肉1〜2枚を週に数回という使い方なら、ヨーグルトメーカーで十分こなせますし、ヨーグルト・甘酒・塩麹まで1台でまかなえるぶん置き場所も1つで済みます。一方、ローストビーフのブロック肉や複数人分をまとめて作りたい、湯を循環させて温度ムラを完全になくしたいという場合は、鍋に取り付ける専用の低温調理器のほうが向いています。まずはヨーグルトメーカーで試し、量に不満が出たら専用機を足す、という順番が無駄になりにくい選び方です。
まとめ#
ヨーグルトメーカーで低温調理ができるかどうかは、「温度を数値で設定できて、65℃前後まで届くか」——ほぼこの一点で決まります。そのうえで、容器に肉が入るかを確認すれば準備は完了です。
- メーカーが低温調理を用途として掲げている安心感 → 山善 発酵フードメーカー YXA-101
- においが移らない素材で衛生的に使いたい → タニカ ヨーグルティアS YS-02G
- 容量に余裕を持って家族分を作りたい → クビンス ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM
- まず試してみたい、費用は抑えたい → アイリスオーヤマ ヨーグルトメーカー IYM-014
- 発酵食と肉で使い方を分けたい → ビタントニオ ヨーグルトメーカー VYG-60
そして最後にもう一度だけ。低温調理は、時間を守ることで安全性を確保する調理法です。「そろそろいいだろう」で切り上げないこと、できあがったらすぐ冷やすこと。この2つを守れば、コンビニのサラダチキンよりしっとりした鶏ハムが、家で当たり前に作れるようになります。